今回は特別企画「中国文学哲学としての易経三百八十四爻」です。占いではない哲学としての「易経」のお話です。カテゴリーは「易経三百八十四爻」になります。
今回は「地澤臨(ちたくりん)」五爻です。
「地澤臨(ちたくりん)」の卦辞は「元亨利貞 至于八月有凶」げんこうりてい はちがつにいたりてきょうあらん。八月は旧暦では収穫の時期であり秋の水害を意味する「臨」は「林」でもあり、「林禍」は洪水水害のことです。これは即ち「感情的なもっと高い所を目指して生まれ変わる、挑戦する」イメージでもあります。
地澤臨は山風蠱の続きでもありますから、ひたすら理想に向かった人が対に形にしようというイメージでもあるのです。
山風蠱は形になるより理想に向かう感じなんだね。
だから「山風蠱」はタロットカードでは準備期間の「剣の王女(従者)」と対応するのです。
五爻は「知臨 大君之宜 吉」しりてのぞむ たいくんのぎ きち。
どういう感じなの?
「知」で臨む、そして深く考えてこそ大君であり、それは吉である、と言うことなのですが「大君」の「深く考える」を、下卦の二本の「陽爻」から考えて、下の意見をしっかり生かす、と言うことです。
「五爻」は「陽位」に「陰」で位、不正で力強さはありませんし、比していません。(隣の爻と陰陽が違う場合、比している、つながっています。)
しかし「五爻」は「二爻」に応じていますし、「中」を得ています。このことから、下の知恵を生かす君主こそ、「大君」である、と言っているのです。
なるほど、強ければ良い訳ではないんだね。
そういうことです。
出典は「易経」でした。