今回は特別企画「中国文学哲学としての易経三百八十四爻」です。占いではない哲学としての「易経」のお話です。カテゴリーは「易経三百八十四爻」になります。
今回は「風山漸(ふうざんぜん)」五爻です。
卦辞は「女歸吉 利貞」じょとつぐにきち ていによろし。嫁ぐによろし、なので婚姻のイメージもありますが、自分のやるべきことに向かう意味でもあります。そして「風山漸」は「下卦」は「艮(ごん:山)」で「上卦」は「巽(そん:風、木)」を意味します、要するに山の上にしっかり根を張った大きな木のイメージです。
「木」には成長の意味がありますから、しっかり根を張ってしっかり自分を高めていく、試練を乗り越えてなるべく自分になるイメージです。
「五爻」は「鴻漸于陵 婦三歲不孕 終莫之勝 吉」こうりょうにすすむ ふさんさいはらまず ついにこれにかつことなし きち。
どういう感じなの?
高い丘まで来たが、思った通りにならず 妻は三年間孕むことが出来なかったが、結局、その試練に打ち勝ち、最後には試練に負けることなく吉になる、と言っています。
願いが叶う、って言ってよ。よく分からなくなるじゃん。
途中で放り出した人のことは知りませんよ、信じ切って頑張りぬいた人だけが最後に負けなかった、と言っているんです。
やっぱり大変なのか。
「五爻」は常に「中」を得ていて「尊位(そんい)」とも呼ばれます、君主や偉い人、達成した人のイメージです。「中」は極端にならずバランスを得ているイメージです。
そして「二爻」と応じています、「二爻」は位正しく、「五爻」も「陽位」に「陽」で位正しく、しっかりと強く結ばれているイメージです。
今までの苦労が結ばれた感じなんだね。
「二爻」「三爻」「四爻」と大変苦労したイメージを「婦三歲不孕」と言っているのです。
なるほど。
そして「四爻」に比しています。「四爻」は謙虚に、しっかり頑張るイメージです、その頑張りがあってこそ、この「五爻」になったわけです。(隣の爻と陰陽が違う場合、比している、つながっています。)
「上爻」には比していません、「上爻」はすごく成功したように見えますが、鳥の羽は儀式に使われています、それは即ち「鳥は犠牲」になっています。
どういうこと?
「成功」というのは単なる「成功」ではなく「成功」を維持するには「犠牲」が必要ということです。もう他の人とは違うのです。
なるほど、ここから先に進むかどうかは本人の行動、考え方次第なのか。
気づいたら「上爻」にいるかもしれないですけどね。
人生の難しさだね。
「成功」してみれば外側から見た時の「成功」とは違うことが分かるはずです。
出典は「易経」でした。