
今回は特別企画「周易 彖伝」です。哲学としての「易経」のお話です。カテゴリーは「周易 彖伝」になります。
今回は「天澤履 周易 彖伝 周易 彖伝」です。

履 柔履剛也 說而應乎乾 是以履虎尾 不咥人 亨 剛中正 履帝位而不疚 光明也
履(り)は、柔(じゅう)剛(ごう)を履(ふ)むなり。説(よろこ)びて乾(けん)に応(おう)ず、ここを以(もっ)て虎(とら)の尾(お)を履(ふ)むも、人(ひと)を咥(くら)わず、亨(とお)る。剛(ごう)中(ちゅう)正(せい)にして、帝(てい)位(い)を履(ふ)んで疚(やま)しからず、光明(こうめい)なり。
履(り)「履(は)く」「踏む」「行う」こと。人が踏み行うべき正しい道、社会的な礼儀やルール(礼)を意味します。
柔履剛(じゅうごうをふむ)物柔らかで弱い存在(下卦の兌・陰)が、強くて尊い存在(上卦の乾・陽)のあとに従っていくこと。
説而應乎乾(よろこびてけんにおうず)内面が笑顔や喜び(兌)に満ちていながら、目上の強い存在(乾)の意思に素直に応じている様子。
履虎尾(とらの尾をふむ)虎のしっぽを踏んでしまうような、極めて危険でハラハラする状況のこと。不咥人(ひとをくらわず)虎が怒って人間を噛み殺したりしないこと。危険な状況でも大難を逃れることを表します。
剛中正(ごうちゅうせい)陽の強い徳を持ち、かつ偏りのない正しい判断力(中正)を備えていること。ここでは最高のリーダーである「九五」の性質を指します。
履帝位(ていいをふむ)天皇や大統領、社長のような、もっとも高い最高権力者のポジション(帝位)に就くこと。
不疚(やまじからず)心にやましいところや、後ろめたさ、不安が一切ないこと。
光明(こうめい)前途が明るい光に照らされ、すべてがオープンで輝かしい状態。
「履」の本質とは、柔和な者(陰)が、強健な者(陽)の後ろに従って正しい道を踏み行うことである。
下の人々が喜びをもって、上の天(乾)のようなリーダーの意志に素直に呼応している。だからこそ、たとえ「虎のしっぽを踏む」ような絶体絶命の危険な状況に直面しても、虎に噛み殺されるような災いには遭わず、物事がスムーズに通る(亨る)のである。
また、トップに立つ者が強さと誠実さ、そして正しいバランス(剛中正)を備えて最高位(帝位)に就いているため、その心に一点の曇りもやましさも無い。その未来はどこまでも明るく輝いている。
「ハラハラするような危険や強い相手に対しても、礼儀正しさと笑顔を忘れずに正しい道を踏み行えば、ピンチを切り抜けて大成功できる卦」
「天澤履」は有名な慣用句「虎の尾を踏む」の語源になった卦です。
思い切って危険に飛び込む意味だと思っている人も多いですが、実は、しっかり礼儀を守り、慎重に強い大きな者、事柄に向かう意味があります。
しっかりやらないと危ないってことだね。
上卦の「乾」は「父」強いもの、下卦の「兌」は「三女」弱いもの、無邪気なもの、のイメージです。
強いものにしっかりついていくから「履む」「礼儀が必要」なんだ。
何が大事かをしっかり見極めなさい。よく考えなさい。とも取れますね。
出典は「易経」でした。