
今回は特別企画「中国文学哲学としての易経三百八十四爻」です。占いではない哲学としての「易経」のお話です。カテゴリーは「易経三百八十四爻」になります。
今回は「天雷无妄(てんらいむもう)」五爻です。

「天雷无妄(てんらいむもう)」の卦辞は「元亨利貞 其匪正有眚 不利有攸往」おおいにとおるていによろし そのせいにあらざればわざわいあり いくところあるによろしからず。です。
邪な心でなく、自分の本心に従うなら、物事はとおるであろう、ということです。邪な心とは、自分の気持ちに逆らって目先の損得に振り回されるということです。そうなれば「眚(せい)、自ら招いた禍(わざわ)い」有り、と言っています。
五爻は「无妄之疾 勿藥有喜」むもうのやまい くすりなくしてよろこびあり。
どういう感じなの?
自分が病になってしまって薬に頼るのは自然なことですが、「薬」でなく、自らの努力を続けること、「無妄」を貫けば治る、ということです。
解釈の一つとしては「自らで治すべき病」なので「薬」に頼らなくても良い、と言う意味もあります。
自分でしっかり取り組み、学ぶことで「治る」という意味もあるのか。
「無妄の病」ですから、みだりさが無いのになった病であれば、自然に治る、と言う意味もあります。
それを「喜び」って言っているのか。
「五爻」は「尊位」であり、君主です。「中」を得ているのでバランスを取れる、取る必要があるイメージです。

そして、「陽位」に「陽」で位正しく、「二爻」とも応じています。力強く、初心でもある「二爻」と結びついています。


だから、頑張ったら喜びがあるんだね。
そうです、そして「五爻」は比していません。(隣の爻と陰陽が違う場合、比している、つながっています。)ですから、周囲からの助けは無い、要らないのです。
それが「薬無くして」なんだね。
出典は「易経」でした。





