今回は特別企画「中国文学哲学としての易経三百八十四爻」です。占いではない哲学としての「易経」のお話です。カテゴリーは「易経三百八十四爻」になります。
今回は「火風鼎（かふうてい）」初爻です。
卦辞は「元吉 亨」おおいにきち とおる。火風鼎は、「下卦」が「木、風」の「巽（そん）」、「上卦」が「火」の「離（り）」になっています、「木」には成長のイメージもあり、自分が成長してその木で、火を燃やし、「料理」を作り、自らをさらに成長させるイメージです。
さらに「鼎」は昔の食器、鍋のようなものにあたるのですが、単なる調理器具ではなく、祭器としても使い、神である上帝を祀ることにも使います、神聖なものなのです。
そして伝説では、最初の皇帝とも言える古の「黄帝（こうてい）」が天、地、人を祀る「鼎」を３つ作り、「禹（う）」が９つの「鼎」を作った、そしてそれは「夏王朝」から「殷」に引き継がれ、そして「周」に引き継がれ、「支配者」の権威の象徴であったことから、「鼎の軽重を問う（かなえのけいちょうをとう）」という言葉が出来ました。
「鼎」の重さを聞くとどうなるの？
それは「天下を狙う」「現在の権力者を軽視、資質を疑う」意味になりますから、「軽はずみなことを言う」ようなニュアンスにも取られます。
へー。お鍋が大事なんだね、何で９個なの？
当時の中国は９つの州がありましたから。
こういうことから「鼎」は神聖なイメージ、政権などの権力のイメージ、成長や、国民などを養う意味にもなるのです。
それで大いに亨（とお）る、んだね。
九鼎大呂（きゅうていたいろ） - かえるさんとにわとりさん「四字熟語」
「初爻」の爻辞は「鼎顛趾 利出否 得妾以其子 无咎」あしをさかしまにす ひをいだすによろし しょうをえてもってそのこあり とがなし。です。
どういう感じなの？
まず、「鼎」をキレイにしないといけません、ですから、さかさまにして中の埃を除去します。その意味で、子を、この「子」というのはのちの可能性というような意味もあります、子を得られないなら方向を変えて子を得るべきだ、それを「妾（めかけ）」を得て子を成すことに咎はない、と言っています。
どういうこと？
しっかりとした目標を持ち、そこに向かって頑張るためには可能性のないことをしても意味が無いわけです、その意味でまず「土台」である「鼎」をキレイにしなさい、と言っているのです。
なるほど。
「初爻」は「陽位」に「陰」で位、不正で力強さがありません、ですから、慌てずに「鼎」をキレイにするのです。
そして「四爻」に比しています、「四爻」は「鼎」の足が折れ中身をこぼしてしまい、問題を起こしてしまうイメージですから、慎重によく考える必要を感じさせます。
良くないじゃん。
慎重に考えることが大切なのです。
そして「二爻」に比しています、「二爻」は、病あり、とあります、要するに相手が体調が悪くて「鼎」の料理が食べられないのか、「初爻」で出したカスがあるからなのか、何らかの理由で「仇（相手）」が同席して料理を楽しめないのですが、それが「吉」だと言っています。（隣の爻と陰陽が違う場合、比している、つながっています。）
相手が料理を一緒に食べられないけど、それでいいんだ、逆に離れてた方が良いのか。
そういうことです。まあ、病は自分の方かもしれませんけど。
出典は「易経」でした。
